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大阪の税理士 三輪厚二税理士事務所

7.会社の土地に本人が建物を建築するケース

 

(ケース)会社の土地を自分が活用


[自分が活用]
──────
[会社の土地]


<ポイント>


(所得税)
・通常の権利金を会社に支払わないと、借地権相当額の贈与を受け
たものとして所得税が課税される。
・相当の地代の支払い、無償返還の届出をしている場合は。借地権
の認定課税はない。
・無償返還の届出をしている場合で、相当の地代以下の地代を支払
っているときは、相当の地代と実際の地代の差額につき所得税が
認定課税される。


(法人税)
・通常の権利金を受け取らないと、会社に権利金収入の認定課税と
借地権者に対する贈与(給与等)の認定課税がある。(最悪の課税
関係)
・相当の地代の受け取り、無償返還の届出をしているときは権利金
の認定課税はない。
・無償返還の届出がある場合で相当の地代の支払いがないときは、
実際の地代と相当の地代の差額につき認定課税がある。


(キャッシュフロー)
・キャッシュは自分に入る。
・相当の地代は相当高額であるため、このケースでは採算が合わな
い場合が多い。
・通常の権利金を支払うと採算が合わないケースが多い。


(相続税)
・相当の地代の支払い、無償返還の届出があるときは、借地権の価
額はゼロとされる。
・貸家とした場合には、一定の財産圧縮効果がある。


■税務上の注意点


@会社が地主の場合は、原則として、通常の権利金の授受がないと会社にも個人にも所得の認定がされるので注意しなければなりません。


A会社が地主の場合は、地代の授受をしなければなりません。無償返還の届出をしている場合であっても、相当の地代を受け取らなければならず、相当の地代に満たない地代の授受があるときは、その差額に対して会社にも個人にも地代の認定がされます。


B会社が地主の場合は、利益追求を原則としますので、個人地主の場合とは取扱いが異なります。この点、十分注意してください。


■建物を建てたときの課税関係


同族会社の土地の上に自分の建物を建てた場合は、権利金の授受があるか、相当の地代の授受があるか、無償返還の届出を出しているかによって課税関係が違います。会社にも個人にも借地権の認定課税がされる場合がありますので注意してください。


イ.同族会社に対する課税関係
イ.通常の権利金の授受がある場合
同族会社が個人に土地を賃貸して、通常の権利金を受け取った場合には、その受け取った権利金は会社の益金に算入することとなります。この場合において、借地権を設定したことにより、その土地の価額(時価)の2分の1以上の権利金を受け取ったときには、次の算式で計算した金額が損金に算入されます。また、この場合には、土地の一部が譲渡されたものとされますので、交換や特定資産の買換えの特例等の適用を受けることができます。

なお、借地権の設定により、土地の価額が2分の1以上下落しない場合には上記のように土地の帳簿価額を損金に算入できませんが、その設定により、その土地の価額が帳簿価額に満たないこととなった場合には、評価損を計上することが認められます。


ロ.通常の権利金に満たない権利金の授受がある場合で、相当の地代の支払いがあるとき
通常の権利金に満たない権利金の授受があったときは、通常、その差額は借地人に贈与があったものとして認定課税が行われます。ただし、次の算式による相当の地代の支払いがあるときは、認定課税が行われないこととされています。
相当の地代=(土地の更地価額−支払った権利金の額−特別な経済的利益の額)×おおむね年6%
(年額)
※1この場合の土地の更地価額とは、その借地権の設定時におけるその土地の更地価額としての通常の取引価額をいいますが、課税上弊害のない場合には、通常の取引き価額に代えて、@公示価格から合理的に算定した価額、A相続税評価額、B相続税評価額の過去3年分の平均額によることもできます。
※2課税上弊害のない場合とは、たとえば、同族会社がその代表者が使用するための土地を借入金で取得し、その借入金の利子を支払う一方で、その土地を相続税評価額の年6%程度の地代で代表者に賃貸する場合をいいます。
※3土地の更地価額を@又はA、Bとする場合には、支払った権利金の額は次の算式で計算した金額となります。

ハ.通常の権利金に満たない権利金の授受がある場合で、相当の地代に満たない地代の支払いがあるとき
通常の権利金に満たない権利金の授受があり、かつ、その支払う年地代の額がロの相当の地代に満たないときは、次の算式により計算した金額が借地人に贈与されたものとして認定課税が行われます。認定された金額は、その内容に応じて、給与(賞与)、又は寄付金として取り扱われますが、過大給与、賞与又は寄付金とされた場合は、損金とならない部分が発生しますので注意が必要です。



※1算式中、相当の地代は、実際に収受している権利金があってもないものとした金額で計算します。
※2算式により計算した金額が通常収受すべき権利金の額を超えるときは、その金額によります。

ニ.権利金の授受が全くない場合で、相当の地代の支払いがあるとき
権利金の授受がない場合は、原則として認定課税がありますが、権利金の授受が全くない場合であっても、相当の地代の授受があるときは、借地権の認定課税は生じません。


ホ.権利金の授受が全くない場合で、無償返還の届出があるとき
会社が借地権の設定により土地を他人に使用させる場合には、通常の権利金の授受や相当の地代の授受がないと借地権の認定課税が行われますが、通常の権利金や相当の地代の授受がない場合であっても、その借地権の設定契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、その旨を記載した無償返還の届出を、遅滞なく同族会社の所轄税務署長に提出したときは、借地権の認定課税は行われないこととされています。ただし、実際の地代の額が相当の地代の額に満たないときは、その差額については、地代の認定課税が行われます。


ヘ.権利金の授受が全くなく、相当の地代の支払も無償返還の届出もないとき
権利金の授受もなく、相当の地代の支払いも無償返還の届出もないときは、地主である同族会社から借地人に対して借地権相当額の贈与があったものとして認定課税が行われます。認定された金額は、その内容に応じて、給与(賞与)、寄付金として取り扱われますが、過大給与、賞与又は寄付金とされた場合は、損金とならない部分が発生しますので注意が必要です。ただし、その土地の使用目的が、単に物品置場、駐車場として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用するものであるなど、その土地の使用が通常権利金の授受を伴わないものであると認められるものについては、借地権の認定課税は行われません。

[課税関係図]


ロ.自分に対する課税関係
イ.通常の権利金の支払がある場合
通常の権利金の授受がある場合は、特に課税関係は生じません。

ロ.通常の権利金に満たない権利金の支払がある場合で、相当の地代の支払があるとき
通常の権利金に満たない権利金の授受があったときは、通常、その差額は借地人に贈与があったものとして所得税の認定課税が行われますが、次の算式による相当の地代の支払いがあるときは、認定課税が行われないこととされています。
相当の地代=(土地の更地価額−支払った権利金の額−特別な経済的利益の額)×おおむね年6%
(年額)

※1この場合の土地の更地価額とは、その借地権の設定時におけるその土地の更地価額としての通常の取引価額をいいますが、課税上弊害のない場合には、通常の取引き価額に代えて、@公示価格から合理的に算定した価額、A相続税評価額、B相続税評価額の過去3年分の平均額によることもできます。
※2課税上弊害のない場合とは、たとえば、同族会社がその代表者が使用するための土地を借入金で取得し、その借入金の利子を支払う一方で、その土地を相続税評価額の年6%程度の地代で代表者に賃貸する場合をいいます。
※3土地の更地価額を@又はA、Bとする場合には、支払った権利金の額は次の算式で計算した金額となります。



ハ.通常の権利金に満たない権利金の支払がある場合で、相当の地代に満たない地代の支払があるとき
通常の権利金に満たない権利金の授受があり、かつ、その支払う年地代の額がロの相当の地代に満たないときは、次の算式により計算した金額が借地人に贈与されたものとして所得税が課税されます。この場合に、借地人(自分)が地主である同族会社の役員である場合は給与(賞与)所得として、役員でない場合は一時所得として取り扱われます。



※1算式中、相当の地代は、実際に収受している権利金があってもないものとした金額で計算します。

ニ.権利金の支払が全くない場合で、相当の地代の支払があるとき
権利金の授受がない場合は、原則として所得税の認定課税がありますが、権利金の授受が全くない場合であっても、相当の地代の授受があるときは、課税関係は生じません。

ホ.権利金の支払が全くない場合で、無償返還の届出があるとき
通常の権利金の授受や相当の地代の授受がないときは、原則として借地人である個人について、所得税の認定課税が行われますが、通常の権利金や相当の地代の授受がない場合であっても、その借地権の設定契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、その旨を記載した無償返還の届出を、遅滞なく同族会社の所轄税務署長に提出したときは、課税は生じないこととされています。ただし、実際に支払っている地代が相当の地代に満たないときは、その差額については、同族会社から贈与を受けたものとして所得税が課税されます。この場合には、借地人(自分)が同族会社の役員又は使用人であるときは給与所得、それ以外であるときは、一時所得となります。

ヘ.権利金の授受が全くなく、相当の地代の支払も無償返還の届出もない場合
権利金の授受もなく、相当の地代の支払いも無償返還の届出もないときは、同族会社から借地人に対して借地権相当額の贈与があったものとして所得税が課税されます。この場合には、借地人(自分)が同族会社の役員又は使用人であるときは給与所得、それ以外であるときは、一時所得となります。ただし、その土地の使用目的が、単に物品置場、駐車場として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用するものであるなど、その土地の使用が通常権利金の授受を伴わないものであると認められるときは、課税関係は生じません。

[課税関係]


■建物を建てた後の課税関係


@通常の権利金の授受がある場合
同族会社が、自分又は家族に自社所有の土地を賃貸する場合には、次の算式で計算した賃貸料を徴収しなければなりません。
通常の賃貸料(月額)=その年度の固定資産税の課税標準額×6%×1/12  
  

A通常の権利金の授受がない場合
通常の権利金の権利金の授受がない場合は、相当の地代を徴収しなければなりません。


■相続税の効果


@借地権の評価
相続時のその土地等の評価は、権利金の授受があるか、相当の地代の授受があるか、無償返還の届出を出しているかによって違ってきます。

イ.通常の権利金を支払っている場合
通常の権利金の授受がある場合の借地権の価額は、その借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、国税局長が定める借地権割合を乗じて計算した金額により評価します。
借地権の価額=自用地価額×借地権割合

ロ.一部権利金の支払いがある場合で相当の地代の支払がある場合
一部権利金の授受がある場合の借地権の価額は、次の算式で計算した金額により評価します。



ハ.権利金の支払いがなく相当の地代の支払いがある場合
通常権利金を支払う取引上の慣行のある地域において、権利金の授受に代え相当の地代を支払っている場合の借地権の価額は、ゼロとして取り扱われます。

ニ.相当の地代に満たない地代を支払っている場合
借地権が設定されている土地について、支払っている地代の年額が通常の地代の額を超え、相当の地代に満たない場合の借地権の価額は、ロと同様に評価します。

ホ.無償返還の届出が提出されている場合
土地の無償返還の届出が提出されている場合のその土地の借地権の価額は、ゼロとして取り扱われます。

[課税関係図]


A建物の評価
イ.貸家とする場合
建物を貸家に供する場合の建物の価額は、次の算式によって求めた価額によって評価します。
その家屋の固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)

ロ.自用にする場合
建物を自用とする場合の建物の価額は、次の算式によって求めた価額によって評価します。
その家屋の固定資産税評価額×1.0