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大阪の税理士 三輪厚二税理士事務所

5.定期借地権を設定して第三者が建物を建築するケース

 

(ケース)自分の土地に定期借地権を設定


[定期借地権を設定]
─────────
[自分の土地]


<ポイント>


(所得税)
・受け取った権利金の額が土地の時価の2分の1以下の場合は不動産
所得、2分の1を超えるときは譲渡所得となる。
・預り保証金は運用方法によっては課税される場合がある。


(キャッシュフロー)
・キャッシュは、自分に入る。
・コストがかからない。

(相続税)
・土地の評価は、定期借地権の目的となっている宅地として一定の
評価となるが、あまり評価は下がらない。
・小規模宅地等の特例は、事業用宅地として、200uまでの部分に
つき、50%減額となる。
・預り保証金は、全額債務控除の金額とならない。


■税務上の注意点


(所得税)
預った保証金は、その運用方法によって課税される場合とされない場合がありますので注意してください。


■所得税の取扱い


個人の土地に定期借地権を設定した場合には、返還を要しない権利金を受け取る場合と返還を要する保証金等(保証金といいます)を受け取る場合がありますが、これらの取扱いは、次のようになっています。

@権利金に対する課税
返還を要しない権利金は、4の借地権を設定して第三者が建物を建築するケースの権利金に対する課税と同じ取扱いですから、そちらを参照してください。


A保証金に対する課税
保証金を無利息で預った場合には、経済的利益を受けますが、この経済的利益については、次のように取り扱われます。

イ.保証金が、不動産所得や事業所得などの業務にかかる資金として運用されている場合又は業務の用にかかる資産の取得資金に充てられている場合
経済的利益の額を各年分の不動産所得の収入金額に算入するとともに、同額を必要経費に算入します。(結果として、課税はありません)

ロ.保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合
経済的利益にかかる所得金額は、計算を要しません。(課税はありません)

ハ.イロ以外
保証金にかかる経済的利益は、保証金を返還するまでの各年分の不動産所得の収入金額に算入します。(この場合には、課税があります)
経済的利益の額は、次の算式で求めた金額となります。
経済的利益の額=保証金の額×適正な利率(平成15年は0.9%)
※適正な利率は、各年度ごとの10年長期国債の平均利率によりますが、平成15年は0.9%となっています。


■相続税の効果


@土地の評価
定期借地権の目的となっている宅地の価額は、原則として、その宅地の自用地価額から次の定期借地権の価額を控除して評価します。ただし、その価額がその宅地の自用地価額に次の定期借地権の残存期間に応じる割合を乗じて計算した金額を下回る場合は、その宅地の自用地価額からその価額に次の割合を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価します。


A定期借地権の評価
定期借地権の価額は、原則として、借地権者に属する経済的利益及びその存続期間を基として評定した価額によって評価しますが、課税上弊害がない限り、次の簡便法により計算した金額によって評価します。

※1基準年利率は、平成14年1月1日以後の相続については、年3.0%とされています。

※2算式における経済的利益は、次の金額の合計額となります。

イ.権利金、協力金、礼金等、借地契約の終了時に返還を要しない金銭又は財産の提供がある場合
その金銭又は財産の価額に相当する金額

ロ.保証金、敷金等、借地契約の終了時に返還を要する金銭等の預託があった場合において、無利息又は基準年利率未満の利息の支払いがあるとき
次の算式により計算した金額
保証金の額−(保証金の額×定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利現価率)−(保証金の額×約定利率×定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率)

ハ.実質的に贈与を受けたと認められる差額地代がある場合
次の算式により計算した金額
差額地代の額×定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率

(例1)権利金の支払いがある場合